韓国第二の都市であり、最大の港町である釜山(プサン)。
温暖な気候と陽気な人々に加え、新鮮な海の幸、美しいビーチ、活気あふれる市場、そしてアートな街並みまで、多彩な魅力が詰まっています。
ここでは、社員旅行等の団体旅行で釜山を訪れたら必ず足を運びたい主要な観光地を、人気と知名度を考慮した順番に15ヶ所厳選し、それぞれの魅力を詳しく解説します。

1. 甘川(カムチョン)文化村

「釜山のマチュピチュ」とも称される甘川文化村は、山の斜面にカラフルな家々が密集して立ち並ぶ、アートな魅力にあふれた場所です。もともとは朝鮮戦争の際に避難民が住み着いて形成された集落でしたが、2009年からの町おこしプロジェクトにより、アーティストや住民たちが協力して壁画を描いたり、オブジェを設置したりしたことで、韓国を代表する観光名所へと生まれ変わりました。

迷路のように入り組んだ路地を散策すると、角を曲がるたびに新しい壁画やユニークなアート作品に出会うことができ、まるで野外美術館を探検しているような気分になります。村の案内センターでスタンプマップを購入し、スタンプラリーをしながら主要なスポットを巡るのが定番の楽しみ方です。

数あるフォトスポットの中でも特に有名なのが、『星の王子さま』とキツネが村を見下ろすように座っているオブジェです。カラフルな家並みを背景に一緒に写真を撮ろうと、常に行列ができています。村の高台にある展望台からは、家々が織りなす美しいパノラマと、その向こうに広がる釜山港を一望でき、その景色は圧巻です。

村内には、韓屋をリノベーションしたお洒落なカフェや雑貨店、軽食スタンドも点在しており、散策の途中で休憩するのも楽しみの一つです。アートと歴史、そして住民の生活が融合したこのユニークな空間は、釜山でしか見ることのできない特別な風景を旅人に提供してくれます。

2. チャガルチ市場

「オイソ!ボイソ!サイソ!(来て!見て!買って!)」という威勢の良い掛け声が響き渡るチャガルチ市場は、釜山のエネルギーを最も感じられる場所であり、韓国最大の水産市場です。釜山港のすぐそばに位置し、毎日水揚げされる新鮮な魚介類が所狭しと並びます。市場で働く元気な「チャガルチアジュンマ(おばさん)」たちとの交流も、この市場を訪れる醍醐味の一つです。

市場は、近代的なビルの中にある屋内市場と、その周辺の露店が並ぶ屋外市場に分かれています。1階の鮮魚店エリアでは、ヒラメやアワビ、タコなど、巨大な水槽で泳ぐ多種多様な魚介類を見ることができます。ここで好きな魚介類を選んで購入し、2階の食堂エリアに持ち込むと、刺身(フェ)や鍋(メウンタン)など、好みの方法で調理してもらってすぐに食べることができます。新鮮そのものの海の幸を、活気あふれる雰囲気の中で味わう体験は格別です。

また、市場の建物の外には、香ばしい匂いを漂わせる焼き魚定食の店が軒を連ねています。店頭で焼かれた様々な種類の魚の中から好きなものを選んで、ご飯やおかずと共にいただくスタイルは、安くて美味しいと地元の人々にも大人気です。市場の最上階にある展望台からは、釜山港や影島(ヨンド)大橋の景色を一望することもできます。釜山の食文化と人々の生活の息吹を肌で感じられる、必見のスポットです。

3. BIFF広場 & 南浦洞(ナンポドン)

BIFF広場とその周辺に広がる南浦洞エリアは、釜山の中心的な繁華街であり、ショッピング、グルメ、エンターテインメントのすべてが詰まった場所です。BIFFとは、世界的に有名な「釜山国際映画祭(Busan International Film Festival)」の頭文字をとったもので、かつてはこの広場が映画祭の中心地でした。現在、メイン会場は海雲台に移りましたが、今でも地面には映画監督や俳優のハンドプリントが埋め込まれており、映画の街としての歴史を感じさせます。

この広場の最大の魅力は、ずらりと並んだ屋台グルメです。特に有名なのが、ナッツやヒマワリの種がたっぷり入った「シアホットク」。揚げたて熱々の生地の中から、甘い黒蜜と香ばしいナッツがとろけ出すこのホットクは、BIFF広場の代名詞とも言える存在で、常に行列が絶えません。その他にも、トッポッキやおでん、キンパなど、韓国の定番B級グルメを気軽に楽しむことができます。

BIFF広場から続く南浦洞のメインストリートには、ファッション、コスメ、雑貨など、様々なジャンルの店がひしめき合っています。ロッテ百貨店光復店もこのエリアにあり、高級ブランドからお土産まで、あらゆるショッピングニーズに応えてくれます。少し路地に入れば、個性的なセレクトショップや隠れ家的なカフェも見つかり、散策するだけでも楽しめます。チャガルチ市場や国際市場とも隣接しているため、釜山の旧市街地をまとめて観光する際の拠点となるエリアです。

4. 国際市場(クッチェシジャン)

チャガルチ市場やBIFF広場と隣接する国際市場は、衣類、雑貨、電化製品、食料品など、ありとあらゆるものが揃う巨大な市場です。その歴史は朝鮮戦争後に遡り、避難民たちが持ち寄った品物を売るための闇市から始まったと言われています。迷路のように入り組んだ路地には、小さな店がぎっしりと並び、その雑多でエネルギッシュな雰囲気は、歩いているだけでも圧倒されます。

市場は、通りの名前ごとに「カバン通り」「アリラン通り」「若者の通り」など、扱う商品のジャンルがある程度分かれていますが、基本的には様々な店が混在しています。大ヒット映画『国際市場で逢いましょう』の舞台となったことで、その知名度はさらに高まり、映画に登場した雑貨店「コッブニネ」は、今や人気の記念撮影スポットとなっています。

市場内の「アリラン通り」や「食べ物通り」には、釜山名物のB級グルメを味わえる屋台や食堂が軒を連ねています。春雨を野菜と和えた「タンミョン」、小麦粉の生地を薄く焼いた「ビビムタンミョン」、そしておでんやキンパ、スンデなどが人気です。椅子に座って、地元の人々に混じって食べる市場グルメは格別です。

近代的なデパートとは対照的に、昔ながらの人情味あふれる雰囲気が残る国際市場。掘り出し物を探したり、店の人と値段交渉をしたりと、ローカルな買い物体験を楽しむことができます。釜山の歴史と人々の生活が凝縮された、活気あふれる空間です。

5. 海雲台(ヘウンデ)海水浴場

釜山と聞いて誰もが真っ先に思い浮かべるのが、この海雲台海水浴場でしょう。約1.8kmにわたって続く白砂のビーチは、国内随一のリゾート地として、夏には韓国全土から人々が押し寄せます。ビーチ沿いには高級ホテルやレストラン、カフェが立ち並び、洗練された都会的な雰囲気を醸し出しています。夏は海水浴客で賑わいますが、それ以外の季節も、穏やかな波音を聞きながら海岸線を散策するだけでも心地よい時間を過ごせます。

近年、海雲台の新たなランドマークとして「海雲台ブルーラインパーク」が誕生しました。廃線となった鉄道跡地を利用したこの公園では、海岸沿いの絶景を眺めながら走る「海辺列車」や、地上7〜10mの高さから景色を楽しめるカラフルな「スカイカプセル」が大人気です。特にスカイカプセルは、プライベートな空間で美しい海の景色を独り占めできるため、カップルや家族連れに絶大な支持を得ています。

また、ビーチのすぐそばには「SEA LIFE 釜山アクアリウム」があり、海の生き物たちに癒されることができます。ビーチの東端に位置する「冬柏(トンベク)島」は、美しい遊歩道が整備されており、APECハウスや人魚像などを巡りながら、海雲台の摩天楼と広安大橋を望むことができます。昼間の活気ある雰囲気はもちろん、夜のライトアップされた高層ビル群が水面に映る夜景も格別です。

6. 広安里(クァンアルリ)海水浴場

海雲台がダイナミックで洗練されたリゾートビーチなら、広安里はより若者向けの活気があり、ロマンチックな雰囲気を持つビーチとして知られています。弓なりに続く美しい砂浜と、その正面に架かる雄大な「広安(クァンアン)大橋」の景色が、この場所の最大の魅力です。

昼間も海水浴やマリンスポーツを楽しむ人々で賑わいますが、広安里が最も輝くのは日没後です。全長7.4kmにも及ぶ広安大橋が、季節や時間によって様々な色にライトアップされ、息をのむほど美しい夜景を作り出します。多くの人々が、この幻想的な景色を眺めるためにビーチを訪れます。

ビーチ沿いの通りには、オーシャンビューを誇るお洒落なカフェやレストラン、パブ、バーがずらりと並んでいます。テラス席で夜景を眺めながら食事やお酒を楽しむ時間は、釜山旅行の忘れられない思い出になるでしょう。特に、新鮮な刺身(フェ)を味わえる「民楽(ミルラク)刺身センター」は有名で、自分で選んだ魚をすぐに調理してもらい、海を眺めながら食べることができます。

夏には様々なフェスティバルが開催され、毎年秋に開催される「釜山世界花火祭り」のメイン会場としても知られています。何十万発もの花火が広安大橋を背景に打ち上げられる光景は圧巻の一言。ロマンチックな夜景と美味しいグルメ、そして活気ある雰囲気が融合した広安里は、釜山の夜を過ごすのに最適な場所です。

7. 太宗台(テジョンデ)

釜山の影島(ヨンド)の最南端に位置する太宗台は、うっそうとした森と、波によって削られた奇岩絶壁、そして果てしなく広がる海が織りなす、壮大な自然景観を誇る景勝地です。その名は、新羅時代の太宗武烈(ムヨル)王が、その美しい景色に魅了されて滞在したことに由来すると言われています。

公園内は非常に広いため、徒歩で回ることもできますが、「タヌビ」という周遊列車を利用するのが一般的です。タヌビは、展望台や影島灯台といった主要な見どころを巡回しており、好きな場所で乗り降りすることができます。

最大のハイライトは、断崖絶壁に立つ「影島灯台」とその周辺の景色です。灯台の下まで階段で降りていくと、荒々しい波が岩に打ち付ける迫力ある光景を間近で見ることができます。また、晴れた日には、展望台から約56km離れた日本の対馬を望むこともできると言われています。

公園内には、母子の情愛をテーマにした「母子像」や、恐竜の足跡の化石が残る岩場など、見どころが点在しています。また、時間があれば、遊覧船に乗って海上から太宗台の断崖絶壁を眺めるのもおすすめです。釜山の都心部とは全く異なる、手つかずの雄大な自然に触れることができる太宗台は、リフレッシュしたい時にぴったりの場所です。

8. 海東龍宮寺(ヘドンヨングンサ)

韓国のほとんどの寺院が山中にあるのに対し、この海東龍宮寺は、その名の通り、まるで龍宮城のように海岸の岩場に建てられた、非常に珍しく美しい寺院です。釜山市の北東部、機張(キジャン)郡に位置し、その絶景から「一つだけ願いを必ず叶えてくれる寺」として、多くの参拝客や観光客が訪れます。

駐車場から境内へと続く道には、十二支の石像が並び、自分の干支の像の前で記念撮影をする人々で賑わいます。交通安全を祈願する塔を過ぎ、108段の階段を下っていくと、眼下に広がる青い海と、波しぶきがかかるほどの場所に建てられた本堂「大雄宝殿」の荘厳な姿が現れます。海と寺院が一体となったその光景は、神秘的で、他に類を見ない美しさです。

境内には、黄金に輝く布袋様(得男仏)のお腹を撫でると男の子を授かるという言い伝えや、学業成就にご利益があるとされる仏像など、様々なパワースポットが点在しています。また、日の出の名所としても知られており、水平線から昇る朝日が寺院と海を照らす光景は、神々しいほどの美しさです。

釜山の中心部からは少し距離がありますが、そのユニークなロケーションと絶景は、時間をかけて訪れる価値が十分にあります。自然の力と人々の信仰が融合した、心洗われるパワースポットです。

9. 西面(ソミョン)

西面は、釜山の交通の中心地であり、ソウルで言えば明洞(ミョンドン)や弘大(ホンデ)のような、若者文化と商業の中心地です。地下鉄1号線と2号線が交差する西面駅を中心に、ロッテ百貨店やNC百貨店といった大型デパート、地下街、そして数えきれないほどのコスメショップ、ファッションビル、レストラン、カフェ、クラブがひしめき合っています。

昼間はショッピングを楽しむ若者で賑わい、夜になるとネオンが輝くナイトライフの街へと変貌します。特に、カフェ好きにはたまらないのが、西面の隣に広がる「田浦(チョンポ)カフェ通り」です。かつては工具店などが並ぶエリアでしたが、近年、古い建物をリノベーションした個性的なカフェが次々とオープンし、釜山で最もお洒落なエリアとして注目されています。どのカフェも内装やメニューにこだわっており、カフェ巡りだけでも一日楽しめます。

グルメにおいても、西面は選択肢の宝庫です。釜山の郷土料理である「デジクッパ(豚骨スープご飯)」の名店が集まる「西面デジクッパ通り」は、朝から晩まで多くの人々で賑わいます。また、リーズナブルな焼肉店から、最新の創作料理を提供するレストランまで、あらゆるジャンルの飲食店が揃っています。ショッピング、グルメ、ナイトライフと、釜山の「今」を体感したいなら、西面は外せないエリアです。

10. 松島(ソンド)海上ケーブルカー&スカイウォーク

松島は、1913年にオープンした韓国初の公設海水浴場であり、長い歴史を持つ場所です。一時は衰退しましたが、近年の再開発によって、スリルと絶景を楽しめる近代的な観光地として見事に復活を遂げました。その復活の象徴が、「松島海上ケーブルカー」と「松島雲の散歩道(スカイウォーク)」です。

「松島海上ケーブルカー」は、松島海水浴場の東側にある松林(ソンニム)公園から、西側にある岩南(アンナム)公園まで、1.62kmの海上を横断します。床が透明なクリスタルキャビンに乗れば、眼下に広がるエメラルドグリーンの海と、遠くに見える南港大橋やコンテナ船が行き交う釜山港の景色を360度楽しむことができ、まるで空中を散歩しているかのような気分を味わえます。

ケーブルカーを降りた先にある岩南公園には、展望台や恐竜のオブジェがあり、散策を楽しむことができます。一方、ケーブルカー乗り場の麓に広がるのが「松島雲の散歩道(スカイウォーク)」です。全長365mのこの遊歩道は、海の上へとS字カーブを描きながら伸びており、所々、床が強化ガラスや格子状になっているため、足元に広がる海の景色をスリルと共に楽しむことができます。ケーブルカーとスカイウォークをセットで楽しむことで、松島の海を空と海上の両方から満喫することができます。

11. 龍頭山(ヨンドゥサン)公園 & 釜山タワー

南浦洞の繁華街の中心に位置する龍頭山公園は、釜山市民の憩いの場として古くから親しまれている公園です。小高い丘の上にあるため、街の喧騒から離れて静かな時間を過ごすことができます。公園内には、李舜臣(イ・スンシン)将軍の銅像や市民の鐘などがあり、散策にぴったりです。

この公園のシンボルが、高さ120mの「釜山タワー」です。展望台からは、釜山港、影島大橋、そしてチャガルチ市場や国際市場が広がる旧市街地まで、360度のパノラマビューを一望できます。特に、港の灯りや街のネオンがきらめく夜景はロマンチックで、デートスポットとしても人気です。近年リニューアルされ、展望台にはプロジェクションマッピングなどの最新技術を駆使した展示も加わり、見どころが増えました。

公園へのアクセスは、南浦洞のメインストリートから伸びる長いエスカレーターを利用するのが便利です。麓の喧騒とは対照的な、緑豊かな静かな公園と、そこから広がる釜山ならではの港町の風景は、訪れる価値のある景色です。ショッピングの合間に気軽に立ち寄れる、都心のオアシスです。

12. ヒンヨウル文化村

影島(ヨンド)の海岸絶壁に沿って形成されたヒンヨウル文化村は、「韓国のサントリーニ」とも呼ばれる、美しい海の景色が魅力の村です。もともとは朝鮮戦争の避難民が暮らした集落ですが、近年、古い家々をお洒落なカフェや工房にリノベーションする動きが広まり、人気の観光スポットとなりました。

この村の最大の特徴は、目の前に遮るものなく広がる青い海と、海岸線に沿って続く「ヒンヨウル海岸トンネル」や遊歩道です。白壁に青い屋根の家々が並ぶ細い路地を歩けば、どこからでも美しい海の景色を望むことができます。映画『弁護人』のロケ地としても有名で、映画に登場した家は人気のフォトスポットとなっています。

村の中には、海を眺めながらコーヒーを楽しめるカフェや、個性的な雑貨を扱う小さな店、地元のアーティストの工房などが点在し、宝探しのように散策するのが楽しみ方です。海岸沿いの遊歩道をのんびりと歩き、時折現れるカラフルなアート作品や、海女さんたちが作業する様子を眺める時間は、心癒されるひとときとなるでしょう。甘川文化村の賑やかさとはまた違う、静かで穏やかな海の風景を楽しみたい人におすすめの場所です。

13. 梵魚寺(ポモサ)

釜山の北、金井山(クムジョンサン)の麓に佇む梵魚寺は、約1300年前の新羅時代に創建されたと伝えられる、韓国禅宗の総本山です。海印寺(ヘインサ)、通度寺(トンドサ)と並ぶ嶺南(ヨンナム)三大寺院の一つに数えられ、釜山を代表する由緒ある古刹です。

都会の喧騒から離れた山深い場所にあり、境内は静寂と荘厳な空気に包まれています。寺院の入口で迎えてくれる「一柱門」は、4本の太い石柱の上に建てられた美しい建築物で、宝物に指定されています。さらに奥へ進むと、新羅時代の様式を今に伝える「三層石塔」や、本尊である釈迦如来像が安置された「大雄殿」など、数多くの貴重な文化財を目にすることができます。

梵魚寺は、その美しい自然景観も魅力の一つです。特に秋には、周囲の山々が紅葉で赤や黄色に染まり、古刹の建物とのコントラストが見事な風景を描き出します。また、外国人観光客を対象としたテンプルステイ(宿坊体験)も行っており、韓国仏教の修行や文化に触れる貴重な体験をすることも可能です。釜山の歴史と精神文化の深さに触れたいなら、ぜひ訪れたい場所です。

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